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相続登記とは、被相続人から相続した自宅や土地などの不動産の名義を相続した人に変更する名義変更登記手続きのことです。親から相続した財産に不動産が含まれている場合、相続登記を行う必要があります。相続登記は義務ではありませんでしたが、2024年から義務化が決まり、期限内に手続きを行わなければなりません。
全国的に広がる「空き家」や「所有者不明土地」を解消する目的として不動産登記法が改正。義務化後は相続登記しない場合はペナルティなども設けられ、登記手続きが必要になります。今回は、2024年に義務化される相続登記の変更点や罰則について詳しく解説していきます。
2021年4月に不動産登記法が改正され、以前は義務化されていなかった相続登記が義務化されました。今回の改正は、全国に広がる「所有者不明土地」を解消する目的があります。相続登記の義務化により相続してから期限内に登記手続きを行わなければなりません。
所有者不明土地は、2017年の国土交通省調査によると国土の20%を占める状況です。(※1)所有者不明土地とは、国土交通省の定義によると「不動産登記簿台帳により所有者が直ちに判明しない、または判明しても所有者に連絡がつかない土地」を指します。
公共事業のため取得しようとする用地の所有者が分からず、土地取得に多大な時間と労力を要するなど全国的に問題になっています。このような問題を解消するため、相続登記が義務化となりました。
(※1 情報元:国土交通省所有者不明土地を取り巻く状況と課題について https://www.mlit.go.jp/common/001201306.pdf)
今回の改正による変更点は主に次の3点です。
・登記登録は3年以内に実施
・相続人申請登記制度の新設
・相続登記しない場合はペナルティが課せられる
新しい不動産登記法では、相続人が開始して所有権を取得してから3年以内に相続登記をしなければならないとの決まりがあります。被相続者が死亡した事実、自分が不動産を相続して所有者になったという事実を知った日から3年以内に手続きが必要です。
また、今回の改正では「相続人申請登記」という制度が新設されました。これは、「自分が相続人です」と法務局に申し出て登記する制度です。遺産分割協議などにより3年以内に登記ができない場合、申し出ることで義務を履行したことになります。その後、相続人が決定後3年以内に登記すればペナルティは課せられません。
期限内に相続登記を完了しない場合は、ペナルティが課せられます。10万円以下の過料が課せられる可能性もあります。
2024年に義務化される相続登記を果たすためには、以下の対応が必要です。
・3年以内に遺産分割協議をして相続登記を行う
・相続人申請登記を行う
・相続放棄する
相続が発生し所有者になった時点から3年以内に法定相続人全員の名義の共有登記を行うことで、相続登記を果たしたことになります。また、遺産分割協議が3年以内に終わらず長引く場合は、相続人申請登記を利用しましょう。その後、相続人が決まった3年以内に相続登記をすれば、義務を果たしたことになります。
また、不動産を相続したくない場合は「相続放棄」も選択肢の一つです。相続放棄した場合は、相続人には該当しないため、相続登記の義務は適用されません。ただし、相続放棄にも期限があるため注意しましょう。
今回は、2024年に義務化される相続登記の変更点や罰則について詳しく解説しました。義務化の実施は2024年からですが、義務化後はペナルティも課せられるため早めの対応が必要です。相続が発生した日から3年以内の登記が必要になるため、相続手続きも忘れずに行いましょう。